外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~
「そうですか。あの、でも、お知り合いのお店に私が同行しても……? 一緒に行く相応しい方がいるのでは」
「そんなことは気にしなくて結構です」
ぴしゃりと言い返されてしまい、「そう、ですか……」と思わず声が小さくなる。
私が心配する筋合いはないことだとはわかるけれど、やっぱり気にはなってしまうもの。だけど、それは不要なようだ。
「プロのカメラマンをされていると伺って、個人的に興味があります」
「え、写真お好きなんですか?」
「ええ。今は全くですが、昔はカメラを扱っていた時期もあって」
そんな話をしているうちにタクシーは大河内さんが指定した場所へと到着する。
降り立った先は海を目の前にした三階建ての建物で、一階は船が離発着するフェリーターミナルになっていた。
大河内さんは真っすぐに二階まで伸びる外階段をゆったりと上がっていく。
そのあとに続いていくと、デッキ席が多い開けたレストランが現れた。