過保護な御曹司の溺愛包囲網~かりそめの妻かと思いきや、全力で愛されていたようです~
結婚を目前にした恋人たちの素敵な時間を演出するために私に課されたのは、これまで拓斗に言われて描いたデザインを手直ししてドレスを数点作ること。

それから、私がこれだと思う至極の一点を仕上げること。どうやらこれが一番の課題のようだ。
条件は森の教会をイメージして、私が着たいと思うものという点のみ。こちらは予算を気にしなくてもいいと言われている。
その気合の入りようからすると、ここの顔となるような扱いかもしれない。 
期待に応えられるように、心して取り掛かろうと、気持ちを新たにした。

時間も限られているため、補佐をしてくれる人を数人連れてきて欲しいが宛てはあるかと言われて考えてみた。
当然、フェリーチェの人間は論外だ。それ以外となると、専門学校で一緒に学んだ友人になる。
たしか、妊娠を機に退職した真由子(まゆこ)が、そろそろ働き口を探すつもりだと言っていたと思い出して声をかけると、ぜひ手伝いたいと言ってくれた。

デザインが固まらないことには仕事が進まないため、あとはおいおい進捗状況に合わせて雇うつもりだ。


自分の着たいドレスを作るのが、これほど楽しいとは思わなかった。
もちろん、これまでもフェリーチェで充実した時間を過ごしてきた。期待に胸を膨らませてキラキラと瞳を輝かせる女性たちの様子に、私も幸せな気分にさせてもらえる。

けれど今は、そのどの瞬間よりも心が満たされていると感じている。

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