過保護な御曹司の溺愛包囲網~かりそめの妻かと思いきや、全力で愛されていたようです~
仕事の話が終わると、久々莉は〝旦那様〟についていろいろと聞きたがった。元部下の結婚を喜びつつ、そのお相手に興味津々といったところだろうか。

「へえ。パリで出会ったなんて、ロマンチックじゃないの」

目を輝かせて語る彼女に、まさか初対面で体の関係を持ったなど言えるわけもなく、意気投合したぐらいにごまかすしかなかった。
私と朔也の付き合いを知っている久々莉には、拓斗とは出会ってあまり時間が経っていないと事実を話してある。朔也との二股を疑われたくないと思って打ち明けたものの、彼女がそんなふうには微塵も思っていないと伝わってきて安堵した。

ただ、拓斗との馴れ初めを語る機会がなかったせいか、ここぞとばかりに追及されてしまった。
思えば、久々莉とゆっくりプライベートな話をするのは初めてかもしれない。ずっとかわいがってもらっていたとはいえ、上司と部下という間柄でいた頃にはどこかお互いに一線を引いており、こんな機会はなかなか持てずにいた。

そんな彼女に絆されてしまったのがいけなかった。久々莉から一方的に散々追及され、解散する頃にはまるでひと仕事を終えたかのようにぐったりしてしまった。でも、嫌な気持ちは少しもない。

「ふふふ。野々原さんが幸せそうなのを確認できて、私も一安心だわ」
「そ、そうですか」
「それじゃあ、また連絡するわね」

手を振って颯爽と去っていく久々莉を見送って、足早にその場を後にした。

それから二日後、早速久々莉から連絡が入った。レースを扱う業者は、久々莉の紹介ならと好感触だと聞いて安心した。

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