過保護な御曹司の溺愛包囲網~かりそめの妻かと思いきや、全力で愛されていたようです~
周りの補佐もあって、メインのドレスは夏真っ盛りの時期に完成した。早く仕上がりを見たいと
はやる気持ちから、無理をした自覚はある。
ここで作業をしていれば、マンションで過ごす時間が短くなるから。拓斗の顔を見ると、久々莉との関係を聞きたいのにそうする勇気が持てないもどかしさに平静でいられなくなりそうで、極力一緒になる時間を避けていた。その言動はかなり不審だったかもしれないが、そこはドレス作りが大詰めを迎えており、浮足立ってしまい落ち着かないとごまかしていた。

ドレスは教会の写真を見たときに思い描いた通り、Aラインで裾が規則的に波打つデザインにした。入手したレースはビスチェ部分にふんだんに使われており、その美しさはなかなかインパクトがある。

「がんばったね、美香」
「ありがとう、真由子」

イメージ通りの仕上がりに満足している。
いろいろと考えてしまうけれど、拓斗には今すぐ実際に見てもらいたいというのも本音で、すぐさまメールで報告した。
彼が私に任せてくれた仕事だ。全力を尽くしたと、胸を張って披露したい。

【できるだけ早くに、見に行く】

拓斗からはすぐさま返信がきた。たまたま手の空いたタイミングだったのかもしれないが、忙しい彼が時間をおかずに返してくれて嬉しかった。

終業後にオフィスに立ち寄るという拓斗に合わせて、そのまま私も残っていた。他の人はもう帰宅しており、拓斗を待つ間はスケッチブックを眺めて新たなデザインを思い描いたり、ほかにも準備すべきものを考えたりして待っていた。

フルオーダーだけでなく、セミオーダーにも十分に対応できるよう、基本的な形はある程度押さえておきたい。
それから、オーダーレンタルも提案したい。自分だけの一着を仕立てて挙式を終えてから、希望者はこちらでドレスを買い取ってレンタルに回してもいい。でもそのまま再利用するのではなくて、顧客に合わせてひと手間加えるてオリジナルなものにしていきたい。予算や時間のかけられないカップルには需要がありそうだ。
この会社はオーダードレスが売りだから、レンタルドレスも好みの飾りをプラスしてオリジナルにするという方法も考えられる。それだけでも十分に特別感を味わえるはず。となると、後づけできる小物やアレンジを提案できるように用意していきたい。

< 133 / 187 >

この作品をシェア

pagetop