過保護な御曹司の溺愛包囲網~かりそめの妻かと思いきや、全力で愛されていたようです~
涙でぼやける視界に、艶やかなブルーのライトが映った。お店の電光案内板だろうが、駅までの道のりでこんな看板を見た記憶がない。
ふと足を止めて辺りを見回してみれば、いつもの道を歩いていたつもりだったのに、どうやら考え事をしているうちに違う路地に入ってしまったようだ。治安のよい地域だとはいえ、詳しくない路地を歩くのは気が進まない。とりあえず、あのお店のところで右に曲がれば大通りが見えてくるだろうと歩みを進める。
近づいてみればどうやらバーだったようで、看板の脇には地下へ続く階段がある。どちらかというとテラス席のある店が多いこの辺りだが、このお店はまるで日本でたまに見かける隠れ家のような雰囲気で珍しい。
「フルール ドゥ スリジエ?」
桜を表すその言葉に親しみを感じて、足を止めた。雰囲気のみならず、店名まで日本由来のものだ。
知らないお店でしかも地下にあるとなれば、いつもの私なら警戒して素通りしていただろう。
けれど不意に触れた日本らしさに、警戒心よりも懐かしさの方が勝ってしまった。気弱になっている今の私にとって、故郷を思い起こさせる存在は抗いがたい。
この七カ月間、一度も戻ることのなかった日本に思いを馳せれば、どうしたって朔也へ行きついてしまう。滲んだ涙を手で拭うと、ここでお酒をいただくのもよいかもしれないと、地下へそろりと足を踏み出した。
ふと足を止めて辺りを見回してみれば、いつもの道を歩いていたつもりだったのに、どうやら考え事をしているうちに違う路地に入ってしまったようだ。治安のよい地域だとはいえ、詳しくない路地を歩くのは気が進まない。とりあえず、あのお店のところで右に曲がれば大通りが見えてくるだろうと歩みを進める。
近づいてみればどうやらバーだったようで、看板の脇には地下へ続く階段がある。どちらかというとテラス席のある店が多いこの辺りだが、このお店はまるで日本でたまに見かける隠れ家のような雰囲気で珍しい。
「フルール ドゥ スリジエ?」
桜を表すその言葉に親しみを感じて、足を止めた。雰囲気のみならず、店名まで日本由来のものだ。
知らないお店でしかも地下にあるとなれば、いつもの私なら警戒して素通りしていただろう。
けれど不意に触れた日本らしさに、警戒心よりも懐かしさの方が勝ってしまった。気弱になっている今の私にとって、故郷を思い起こさせる存在は抗いがたい。
この七カ月間、一度も戻ることのなかった日本に思いを馳せれば、どうしたって朔也へ行きついてしまう。滲んだ涙を手で拭うと、ここでお酒をいただくのもよいかもしれないと、地下へそろりと足を踏み出した。