もっと俺を欲しがって?
女の子が走り去ったのを確認してから、がっくしとプリンの傍に崩れ落ちる。
あああ…幻覚だろうか…
廊下にぶちまけられたプリンがなぜか「D」の形に見えてくるのは…
「だいじょーぶ?小柴ゆあ」
「…え?」
まさか、と思った。
だけど、この独特の「ゆあ」って呼び方。一人しかいない。
「みっみみみみみみ!?」
「耳がどうかしたー?」
「いえ、あのっ、み、神子戸様…!」
「うん。きみは、小柴ゆあ。覚えてる」
なぜか無性に嬉しそうにそう言って、
神子戸様は私の隣にしゃがみこんだ。
「で、何してるの?小柴ゆあ」
「え、あの、えっと…プリン…落としまして」
「うん」
「それであの…か、片付けます」
制服のポケットに入っていたポケットティッシュで、プリンをかき集めていく。
あああ…
「上の方のプリンであれば食べられるのでは?そうだよね、物理的に廊下とか接してないわけだし、私お腹けっこう強い方だし…」
「ぶっ」
「ハ!!!」
神子戸様の吹き出した声に我に返った。