悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
直後、彼女は使命感溢れる顔で、そう言い放っていた。

「…………女神」

予想外の返答を受けたかのように、エレオットがしばし固まる。

「つまりアレか……? 同性でなかったとしたら、結婚したいとかいう――」

「私がミッシェル様と結婚なんておこがましいです! 私は彼女の幸せを眺め、彼女を堪能しッ、彼女を追いかけ続けて愛で続けていたいのです!」

推しへのこの愛っ、目の前のイケメンの権力や顔面偏差値なぞに負けてたまるものか!と、アメリアは胸に手を当てて力強く告げた。

とうとう、エリオットが困惑した顔になった。

彼は、アメリアの頭から一度手を離した。しばし、視線をそらし、じっくりと考えるような間を置く。

「――俺との反応が違いすぎる」

ぽそりと思案顔で呟くと、エリオットはアメリアを見た。

「おい」

「はい、なんでしょう?」

「ミッシェル嬢と俺、どちらかを選べと言われたらお前は――」

「ミッシェル様です! 痛ぁっ!」

アメリアは、またしても頭をワシ掴みにされてしまった。ギリギリと締め付けてくる彼の目は、威圧感があって怖い。

「なっ、なんでまた頭を押さえつけるんですか!?」

「俺の台詞を遮ってまで主張するとは」

「えぇぇ、だって、殿下が質問されたんじゃないですかっ」

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