悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
そんなアメリアの思いなど露知らず、エリオットはずっと見つめていた。結局、アメリアは、三曲目が終わるまで解放してもらえなかった。



◆§◆§◆



ようやくエリオットが離してくれた時、アメリアはすっかり息も上がってしまっていた。何人かに声をかけられたけれど、応える気力はなかった。

これ、もしかしたら新手の嫌がらせなのでは?

よろよろとダンスフロアを離れながら、ふとそんな憶測が脳裏をよぎった。初参加のパートナーを、三曲もぶっ通しで踊らせる紳士がいるだろうか。

彼は自分をよくは思っていなくて、先日だってよく分からない八つ当たりをしてきた。彼ならば、その可能性は十分ある気がした。

「お前、婚約者としてかなりうまくやれているようですね」

待ち合わせ場所の壁際で、息を整えてグラス一杯分のジュースを飲み干すのを待って、クラークがそう言った。

「『うまくやれている』って……?」

アメリアは、直前まで嫌がらせ説を考えていたから訝った。

「第二王子殿下も、三曲も踊って見せつけるとは、やりますね。恋をするような男ではなさそうだと思っていたのですが、どうやら懸念だったようです」

心当たりもないので恋の部分は聞き流した。でも三曲踊ったことについては、そういえばエリオットが「他の者に誘われないように」と言って、最後まで離してくれなかったのを思い出す。

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