悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
ゲームのメインヒーローである第二王子エリオットは、出会う前から〝悪役令嬢アメリア〟に悪い印象を持っている設定だった。

この気の強そうな目と顔付きは、それを活かすためのものだろう。彼は彼女や周囲に厳しいのに、ヒロインを甘々に溺愛するというギャップが人気だった。

その時、不意に彼の紺色の目がこちらを向いた。

「おい、聞いているのか?」

「え? ああ、聞いておりますわ」

ゲームの画面で見ていたままの〝彼〟だ。そう思って眺めてしまっていたアメリアは、初めて画面とは違う表情を向けられて我に返った。

ここは、今の私にとって現実だ。しっかりやらねばならない。

「殿下のおっしゃる『利用』とは、どういうわけでしょうか?」

ゲーム世界の悪役令嬢アメリアと違って、そう落ち着いた口調で尋ね返した。ここで戸惑いを露わにしていたっけな、とアメリアは思い出す。

なんだか、エリオットが妙な表情をした。

「お前、やけに冷静だな? この俺と婚約できるかもしれないと、期待しているのではないのか?」

一般的に考えれば、彼相手であればどの家や令嬢も期待するだろう。貴族の結婚とは、本人達の意思よりも家同士の結び付きなどだって関わってくる。

とはいえ、相手が王族であれば言い訳も簡単だ。

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