悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
「配慮して『対象外』という言葉を使わなかったというのに、お前は。はぁ」

クラークが、全部は言葉を続けずに首を左右に振る。

そこで残念そうな溜息を吐くなよ……というか、そもそも彼が今、そう口にする必要はあったのだろうか?

思えば、自分達は、恋も勝手にどうぞという偽装婚約だ。

クラークが面倒そうな表情をしているのは、恐らくは王族に睨まれる状況を思ってのことなのだろう。ならば、まずその誤解を解くのみ!

アメリアは決意すると、同志であり、友人である彼に告白した。

「大丈夫っ、安心してください! そもそも私、殿下の本物の婚約者ではないので!」

「はぁ?」

いかにも、こいつ何言ってんだ、という顔でクラークが見てきた。

「お前、したたかに頭でもぶつけましたか? 立派な第二王子の婚約者でしょうに」

しげしげと上から覗き込まれたアメリアは、彼の表情から、本気でそう言っているのだと分かってショックを受けた。

「ほ、本当のことを勇気をもって打ち明けたのに、微塵にも信じられていない!? あのっ、私は全く立派でもなんでもなくて、ただのお飾りで一時的にそばに置かれているだけの偽装婚や――ぐぇっ」

その時、アメリアは唐突にエリオットに担がれた。びっくりして咄嗟に逃れようとしたら、腰をがっしり抱え込まれてしまう。

「な、何をしているんですか殿下っ」

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