悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
「――それだけでなく、本当に相手の〝第一王子殿下〟にも気持ちがあるかどうか、それを確認しないことには勝手に動けない案件だ」

ハッとして振り返ると、そこには腕を組んだエリオットの姿があった。なぜか真っ黒いオーラを背負い、静かな表情でブチ切れていた。

それを目に留めたクラークが、ちょっと面倒そうな顔をする。

「あのっ、これは別に密会ではないんですよ」

何も言ってくれないクラークに焦って、アメリアはあわあわと答えた。社交界では、未婚の男女だけでいるという状況はあまり歓迎されない。

すると、エリオットが冷ややかに見下ろしてきた。

「少し前から話は聞いていたから知ってる。見つけた時は密会かと思ったが、奴がお前の口を手で押さえた時だって、殺しにかかるのをこらえてよかったよ」

……なんだか、不穏な言葉が聞こえた気がする。

つらつらと話すエリオットの声は低い。アメリアがじろいでいると、面倒そうに眉を寄せていたクラークが「やれやれ」と立ち上がって礼を取った。

「こうして直接お話するのはお初になります。ご安心ください殿下、私は友人であり、同志であって、頼まれても彼女を奪ったりはしませんので」

唐突の申告を聞いたアメリアは、後半の言い方が引っかかって「言い方!」と立って抗議した。

「なんか女性としては完全にアウトで対象外、みたいな言い方になってません?」

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