悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
「完全完治とはいえ、療養期間も長すぎた。安心して任せられないと、みんなが言うだろう」

「ミッシェル様……」

「私だって、自分の体が強くないことは自覚している。それに私の体を気遣って、彼を不安にさせて負担を増やしてしまったらと思うと……」

優しい第一王子マティウスが、国王となった際、王妃の公務の一部を自身で行うことになったら、その負担はかなりのものになるだろう。

ミッシェルは、それを考えて彼を諦めたのだ。

「ミッシェル様、彼に想いを伝えましょう」

気づいたらアメリアは、彼女のそばに寄って膝をつくと、ミッシェルの細く白い手をぎゅっと握りしめていた。

「殿下に、あなた様のお気持ちを打ち明けるんです」

「だが、私は」

「ミッシェル様、今とてもお辛そうです。黙っていれば、きっともっと辛くなります」

前世で三十代まで生きた。鮮明には思い出せないでいるけれど、気持ちを殺して生き続ける辛さはよく知っている気がした。

するとクラークも立ち上がって、彼女の騎士のごとく、そっと片膝をついてミッシェルを見上げた。

「私もご協力致します、ミッシェル様」

そう気遣う声をかけられたミッシェルが、二番目の友人である彼を見て、それからアメリアへと目を戻して今にも泣きそうな表情を浮かべた。

「でも、君が思っている以上に、難しいことなんだよ」

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