悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
「はい。私もミッシェル様とお会いして、お話しをしたくって……でも、何かご事情でもあるのかなと思ったら、今、話しかけるのもご迷惑かなと」

この優しい人に、会話を聞いていたとは言えない。後ろめたさに声が小さくなりかけたアメリアは、ぐっとスカートの上で拳を作った。

「勘違いだったらすみません。もしかしてミッシェル様は、第一王子殿下に特別な思いを抱いているのではありませんか?」

そう告げると、しばし考えるような間があった。

答えてくれるか分からなくて、アメリアはクラークと共に緊張して待っていた。すると、やはり予期していたのかミッシェルがこう言う。

「陛下とは友人関係にもあった両親に引き合わされてから、ずっと、特別な人だったよ」

療養生活の中、少し体調が良くなったタイミングで顔を合わせる機会があったのだという。読書が好きという同じ趣味で、彼が「本の宝庫」と呼ばれている宰相の別荘にたびたび訪れるようになった。

そうして季節を一つこえたところで、好きであることを自覚したのだと、ミッシェルは語った。

「もし、彼と共に歩む未来を望むのならば、王妃になる覚悟が必要だとは分かっている。……でも、覚悟や想いだけでは、どうにもならないことはあるんだ」

ミッシェルは視線を落とし、痛むような表情を浮かべて胸元に手をあてた。

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