悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
たったそれだけで、アメリアは胸が高鳴ってしまった。どうしてだろう。素の表情で楽に座っている彼が、パーティーで見た時以上にとても素敵に映った。

エリオットの笑顔を見る限り、かなり自信があるみたいだった。

思い返せば、婚約を破棄る話を白紙にして欲しい、と言ってきた時もずっとそうだった。

あの時、彼はただ真っすぐアメリアだけを見て「好きだ」と何度も伝えてきた。女性であるミッシェルに嫉妬したくらいに惚れているのだ、と。

『じゃあ、俺に恋をさせればいいわけだな?』

そう言って、見つめ返してきた彼の強い眼差しと、ハンサムで不敵な笑顔を鮮明に覚えている。

ああ、私、ずっとこの人にドキドキさせられているわ。

こうして冷静に思い返してみると、彼は本当のことしか言っていないと気づく。どの言葉も、気の迷いなんかではなかった。

アメリアは、自分がエリオットに半ば恋に落ちてしまっていることを、とうとう認めるしかなかった。

――あなたとなら、結婚してもいいと思い始めている、と。

「えっと、私も、その……好き、かもしれない……。だからあのっ、婚約は、引き続き、でいいです」

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