悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
「侍女の格好をして、あなた様についていくのはだめですかね?」

ふと思いついて提案した。

すると、無表情ながら、クラークが呆れた目を向ける。

「第一王子殿下、ならび第二王子殿下も、ご参加の予定だと聞いておりますが」

「ああ。じゃあ、もしついでに招待されることがあったとしたら、私もその時は参加できたりしますか?」

「お前、第二王子殿下の婚約者なのですよね?」

なんだか話がかみ合っていない、と言わんばかりに確認されてしまった。







「殿下の婚約者とあれば、必ず同伴されるかと。そもそも、お前と殿下は、初めての社交の場でのお披露目になるのでは――」

クラークの説明は続いたが、アメリアはゲームの〝険悪な二人の風景〟を思い出していた。

ゲームの原作では〝悪役令嬢アメリア〟が、自分から予定を聞き出して舞踏会へ出席していた。そうして第二王子は、嫌々ながら連れていく。

自分はそれをしていないから、彼が出席することを知らなくて当然か。

両親が参加しないくらいだから、特別な舞踏会というわけでもない。あの殿下は本当に〝悪役令嬢アメリア〟に興味がないのだろう。

よし、ひとまず潜入に使えそうな衣装を家で探してみよう!

アメリアは、意気込んで立ち上がった。それをクラークが、冷静沈着な表情ながら大変気になった様子でじっと目で追う。

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