天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~
言葉を発した瞬間、周りの神達からはざわつく声が聞こえ天帝からは笑みが消えた。
「なっ。なんだと?」
動揺する天帝を無視し月影は他の神や重臣達に向き直った。
「皆の者もそうは思わないか?この無能な天帝は二千年の間、天后に実権を握られ政務を疎かにし天女さえも殺した」
「無礼な!」
天帝が叫ぶも誰も効く耳を持たない。
「天后が罪を犯したのも防げず多くの民が犠牲になった。天后がいなくなってからはろくに政務を行えず、この月影が処理をしてきた。このようなお飾りの天帝は果たして必要であるか!?」
月影の言葉は誰もが納得する内容だった。
「月影、謀反を起こす気か!」
「聖君であればそこまで謀反を恐れることはない。天帝が謀反を恐れるのは自分が無能だと自覚しているからだ」
月影は水系術でゆっくりと剣を作り出した。水の剣は氷で覆われ、刀身に強烈な冷気を纏った。