あやかし戦記 葛藤の炎
お茶会を楽しむイヅナたちのもとに、肘で小突き合いをしながらギルベルトとツヤが現れる。

「何だ、のんびりティータイムか?」

ツヤに感情のない目で見られ、イヅナは叱られた時のことを思い出す。何時間にも感じる説教の後、罰として山の中を何周も走らされたのだ。

「ツヤ、怖がらせないでよ。可哀想だろ?」

ギルベルトがイヅナの目を塞ぐ。バタバタと火花が散る音が聞こえた。

「あの、何で俺たち呼び出されたんですか?」

空気に耐えられなくなったのか、サンドイッチを食べながらレオナードが訊ねる。するとギルベルトはイヅナから手を離し、「実はイヅナとレオナード、そしてヴィンセントの三人だけで任務に行ってもらおうと思ってね」と紅茶をカップに注ぎながら言った。

「えっ、三人だけでですか!?」

ヴィンセントが言い、イヅナも驚きを隠さなかった。今まではずっと上司であるツヤがいて、大きな問題が起きないようにしてくれていた。つまり、最悪の事態に守ってくれる人がいない状態で行かなければならないのだ。
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