あやかし戦記 葛藤の炎
「じゃあ、その村長さんは俺らの大先輩ってわけか」

レオナードが興味津々といった雰囲気で言うと、「失礼なことしないでね」とヴィンセントに睨まれる。レオナードは首を傾げた後、大きく体を伸ばした。

「どんな妖が相手でも戦って勝って、新人でもできるんだって見せつけてやろうぜ!」

レオナードが元気にそう言い、そんな様子にヴィンセントとイヅナは村長に失礼なことを言ったりしそうだなと不安を覚える。

それから三人は、海を眺めたり話したり、妖について復習したりしていた。そうしているうちに、目的地である国に近付いてくる。

「あそこが、ホーリー村のある国……」

緑に囲まれた自然豊かな国を目にした時、イヅナの胸にざわりと嫌な予感が走った。

船が賑やかな港に着くと、「やっと着いたか〜。船旅は退屈だったぜ」とレオナードがあくびをする。

「レオナード、ここから列車で三時間ほど移動するのよ」

「また移動かよ。疲れる〜!!」

イヅナがホーリー村行きの列車の切符を手渡すと、レオナードはガクリと肩を落としていた。そんなレオナードをヴィンセントが「列車に乗り遅れるぞ」と引っ張り、船旅を終えてすぐ、列車での旅が始まったのである。
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