小さな願いのセレナーデ
そして夕食を食べ終わる頃に、インターフォンが鳴った。
「あ、来たかな」
昂志さんは立ち上がり、モニターの前で対応している。
「あぁ、来たの?」
瑛実ちゃんはパパッと食器の片付けに入った。
私はまだ数口残っていたので、慌てて口の中に掻き込む。
「誰なの?」
「藤谷デパートの外商」
えっ…こんな時間に?と驚く。
でも二人で片付けをしていると、スーツを着た男性が大量の荷物と共に現れた。
「久我様、本日はお忙しい中ありがとうございます」
「こちらこそ、無理言って申し訳ない」
あっと言う間に商品が運ばれ、リビングがお店に変わった。
「このワンピースいいわね」
「ええ。可愛らしいピンクは瑛実お嬢様にお似合いですよ」
「今度コンサートに行くんだけど、これだと目立つからもう少し落ち着いた感じの色はない?」
瑛実ちゃんは普通に店で買い物するように、商品を見ていてる。
やっぱりこういう場に、慣れているらしい。
「碧維、来なさい」
昂志さんは碧維を引っ張ってくると、膝の上に座らせる。
「どれがいいかな?」
目の前には、子供服の高級ブランドの服がずらーっと並べられている。