No rain,No rainbow
「髪の毛、巻きたかったの?」

隣に腰掛けて、横から私を見つめる、律さん。

「…うん。たまには、違う私を、と…」

巻きかけの髪の毛は、まだ半分しか巻けていない。

おまけに、慣れないヘアアイロンで指を火傷してしまった。

「んで?その可愛らしい気持ちは、オレのためでしょう?」

分かりきっていることをわざと聞くのは、私の口から直に聞きたいからだろう。

そんな律さんの方が可愛くて。

「…当たり前、です」

うつむいたまま、答えた私に、

「顔あげて?」

甘い声が降ってくる。




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