後味も甘く彩る


「うぅ、ミルクティー自体の味が苦手なわけじゃないんだよ。ただなんかこう、舌に残る後味が苦手っていうか」

「後味?あんま気にしたことないけど……っていうかむりしなくていいって言ったのに」

「だって、せっかく才原くんがくれたから」



才原くんにとっては、ただ自分の分を買うついで程度かもしれないけれど、でもいつも私は才原くんの差し入れに元気をもらってたから。甘いものがもらえるから嬉しいんじゃなくて、才原くんの気遣いが嬉しくて。



「いつもほんとに嬉しいんだよ。だからこれも大事に飲みます」



そう言って紙パックのミルクティーを揺らして笑うと、才原くんは一瞬面食らった顔をしたかと思えば、次の瞬間には拗ねたような顔で私をじっと見つめてきた。



「……せんぱい、ほんとそういうとこ、ですよ」

「えっ?なに?聞こえなかった」



ミルクティーをひとくち飲みながら首を傾げれば、才原くんが私に手を伸ばしてくるのが視界に映った。そして一瞬躊躇うように指先を彷徨わせたかと思えば、途端覚悟を決めたような顔でグイッと腕を掴んで引き寄せて。
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