ウソツキハート



それから、残業の度にエレベーターで出会う、その人。



どこの部署の人だろう?



人当たりがいいから、営業かな?



いつも思う疑問は聞けないまま。



上司や仕事の愚痴を吐き出すあたしをいつも、ただ笑って眺めてくれた。



穏やかで、優しい眼差しで。



それは、何度目に会ったときだっただろう?



今でははっきり思い出せないけれど。



一階に着くまでの短い間に、交わす会話。



それがとても楽しみになっていた、頃。



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