政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
「清川だ」
「あ…いった方がいいよ。きっと清川さん待ってるから」
仕事だからしょうがない。それはわかっている。でもその隣には当たり前のように私がいられたらいいのに、とも思う。
いつか彼が愛想をつかして私から去ってしまうのではと思っている。いつか私の前からいなくなってしまうのでは、と。
しかし、彼はその着信をどういうわけか出ることはしなかった。それどころか電源を切った。
「え?!楓君っ―?」
目線を楓君と携帯電話、交互に動かすが…―。
「んっ…ふ…ぅ」
勢いよく唇が塞がれた。背中に回る手の力が強まっていく。
片方の手が乱暴に携帯電話をソファの上に手放し、両方の腕で私を抱きしめるから更に抱きしめられる力が強くなる。
意識が途絶えそうなほど彼の舌が私の口内を犯す。私も彼に応えたいと思い、熱い息を漏らしながらも楓君の背中に抱き着く。
すると、再度ソファに体を押し倒され背中に柔らかい感触を感じる。
キスってどうやって終わるんだっけ?何か合図のようなものがあった?
楓君は角度を変えてキスを繰り返す。これでいいのかなと私も彼の真似をするように舌を絡める。
と。
「んんっ…!」
突然全身に電流が走る。ビクッと大きく体が揺れ、弓なりに背中が反る。
楓君の血が通っていないのではないかと思うほどの冷たい手が私の太ももを撫でた。