政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
いったい自分がどうなってしまったのかとパニックに陥る私とは対照的に、彼は深いキスを繰り返して、ドレスに流れ込む手が太ももを撫でる。
呼吸が苦しくなると少しだけ息がしやすいように唇を離してくれるものの、貪るようなキスは変わらない。そして触れられた箇所が熱を持ち、全身に広がりじんわり全身に汗が滲む。
夏でもない今の季節にどうしてしまったのだろう。
彼が触れる箇所全てが敏感になって下腹部が疼く。
知らない、こんな感覚を私は知らない。
羞恥心でどうにかなりそうなのに同時に押し寄せてくる快感に思考が追い付いていかない。
「…はぁっ…かえ、でくん…っ」
彼の名前を呼ぶと、我に返ったように顔を離した。
黒目が彼を捉えるが、普段ならば余裕そうに私を見下ろすのにどうしてか今は違った。
罪悪感を滲ませた顔をして、先ほどまで足に這っていた手が私の頬を撫でた。
「悪い、」
そう言って、重みが消えたと同時に視界には照明が映る。
まだ火照った体を何とか上半身だけ起こして楓君、とかすれた声で呼ぶ。
楓君は既に立ち上がっていた。