政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
「ごめん。一時間くらいで戻る。日和は休んでて」
「わ、わかった…」
楓君はそう言うと、そのまま部屋を出た。バタン、とドアが閉じる音がした。まだ煩い鼓動は鳴り止むことはなかった。
楓君がいなくなった部屋でようやく着飾ったドレスや化粧を落とした。
今日は妻としての役割を果たせたかな。いや、それはない。秘書の方が私よりもずっと楓君をサポートしている。仕事だから当たり前なのだが、私ももっと彼のために何かをしたい。
♢♢♢
お風呂に入ってからバスローブ姿のまま寝室の窓から夜景を見ていた。
ウトウトしていると、ドアが開く音がした。
疲れが溢れるように全身が重く、体を起こすことさえ億劫になる。
「楓君、お疲れ様」
時刻を確認すると確かに一時間ほどで戻ってきた。
「寝てなかったの?今日は疲れただろ、もう寝よう」
「うん…」
「シャワー浴びてくる」
彼がそのまま浴室へ向かった。