政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
日和、とどこか遠くから私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
薄っすらと瞼を開けると
「…あれ?」
楓君が私の顔を覗き込んでいた。
私の額に手を当て、険しい表情の彼を見て仕事はどうしたのだろうとぼんやり考える。声を出そうにもそれすら億劫なほど体が重い。
「今戻ってきた。まだ午前中だから午前の診察には間に合うと思う。用意できる?」
「…うん」
スーツ姿の彼は着替えることもなく、ベッドの縁に座ると私の上半身を起こすのを手伝ってくれた。
彼に促されるまま、体温計で熱を計ると38.6度と朝よりも上がっている。
「飲み物買ってきた。水分取った方がいい」
コップに注がれた水を飲み干してから、着替えるために起き上がるが上手く力が入らない。
「着替えるの、手伝おうか?」
首を横に振ってそれは大丈夫と彼に間接的に伝えるが既に彼の手は私のパジャマに掛かっている。
無言で着替えを手伝ってくれるが、恥ずかしさで目を逸らしてしまう。
それに腹部にも首にもいたるところについている“印”も直視することが恥ずかしい。
「病院なんだけど、近くの内科に電話したら一番ここから近い病院がそんなに待たないで診察してくれるみたい」
「…そうなんだ、ありがとう」
掠れた声が出る。
白いブラウスにブラウンのカーディガンを羽織らせて、下も同様にスカートを履かせてくれる。
薄っすらと瞼を開けると
「…あれ?」
楓君が私の顔を覗き込んでいた。
私の額に手を当て、険しい表情の彼を見て仕事はどうしたのだろうとぼんやり考える。声を出そうにもそれすら億劫なほど体が重い。
「今戻ってきた。まだ午前中だから午前の診察には間に合うと思う。用意できる?」
「…うん」
スーツ姿の彼は着替えることもなく、ベッドの縁に座ると私の上半身を起こすのを手伝ってくれた。
彼に促されるまま、体温計で熱を計ると38.6度と朝よりも上がっている。
「飲み物買ってきた。水分取った方がいい」
コップに注がれた水を飲み干してから、着替えるために起き上がるが上手く力が入らない。
「着替えるの、手伝おうか?」
首を横に振ってそれは大丈夫と彼に間接的に伝えるが既に彼の手は私のパジャマに掛かっている。
無言で着替えを手伝ってくれるが、恥ずかしさで目を逸らしてしまう。
それに腹部にも首にもいたるところについている“印”も直視することが恥ずかしい。
「病院なんだけど、近くの内科に電話したら一番ここから近い病院がそんなに待たないで診察してくれるみたい」
「…そうなんだ、ありがとう」
掠れた声が出る。
白いブラウスにブラウンのカーディガンを羽織らせて、下も同様にスカートを履かせてくれる。