政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
まさか彼が点滴をしている私の傍にいてくれたなんて。
嬉しくてつい笑みが込み上げた。具合が悪いのに、自然に口元が緩む。
真っ白い天井を見つめ、消毒液の独特の香りに包まれながら目を閉じていると
「調子は大丈夫?」
「松堂君…」
ノックして入ってきたのは、松堂君だった。
診察はいいのだろうかと思ったが彼が口を開く。
「もうお昼だよ。既に患者さんはいない」
「そうなんだ…今日はありがとう」
「医者ですから、当然ですよ」
近くにあった椅子に腰かける。楓君と松堂君はあまり仲が良くないようだからもう少しで楓君が来るのでは、と内心ひやひやしていた。
出来る限り二人を合わせたくはない。
「日曜日、無理そうなら教えて。体調良くないのに会うなんて無理だから」
「うん、ありがとう。何とか数日で治したいんだけど…」
「無理しなくていい。これは医者として言ってるからね。それから、」
松堂君がほんの少し顔から表情を消した。
「随分と旦那さん嫉妬深いんだね」
「嫉妬…深い?」