政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
「遠くない?」
「そう、かな?」
ガチガチに緊張しながらもなんとかベッドに背中を預けたが、楓君から“遠い”と言われた。
(遠くないよ!近いよ!これ以上近づいたら緊張していることがバレちゃうよ…)
「もっと近づいたら?」
「…その方がいいかな」
「その方がいい」
「…そっか」
数秒無言になった後、私は天井を見つめたままゆっくりと彼に近づいた。
楓君は私の方を見ながら、腕を立てているのは周辺視野で捉えている。
楓君と私は数か月前に結婚をしたが、事前の付き合いもなくお互いのことはほぼ知らない状態で結婚した。だから今も、楓君のことは知らないことの方が多い。
「どうかな」
「ん、俺的には満足できない距離。ていうかこっち向かないの?この間は俺の方に体向けて寝てたけど」
「そ、そういうことは言わないで…。後悔してるんだから!」
「ふぅん。俺は後悔なんてしてないけど」
「…え、」
ようやく彼の方に顔を向ける。楓君と目が合った。真剣な、私を射抜くような眼光に心臓が早鐘を打つ。