政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
今度は楓君が静寂を作る。
それを伝える予定は無かったが、話しておいた方がいいような気がしたのだ。
しかし、彼の返答待ちのこの間、私は酷く後悔していた。完全に引かれたのだと思ったからだ。無言がその証拠だろう。
泣きそうになりながらも、どうせ私たちは政略結婚で両想いになることなどないのだからいいじゃないかと自分で自分を慰めるように心の中で呟く。
なのに…―。
「そうなんだ」
「…うん」
「俺は嬉しいけど」
「へ?」
「嬉しい」
口元に笑みを作り、そう言った彼は本当にうれしそうだった。
どうして嬉しいのだろう。どうして。
でも引かれなかっただけマシだと思い、安堵した瞬間、楓君が私に覆いかぶさってきた。
本当にそれは一瞬で、私は身動きが取れなかった。理由は単純で両手首がベッドに縫い付けられるように彼の手で固定されていたからだ。
「か、楓君?!」
「キスしていいんだよな」
「…うん、でも、」
「今から教えるからその通りにして。力抜いて」
「ちょっと待って!あの、心の準備を!」
「もうずっと待ってんの、俺」