政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】

それはそうだ。副社長となれば、それが仕事だろう。
 楓君のお父さんとお母さんも来ているようだから先に挨拶をしておきたいと思いきょろきょろしていると清川さんがドリンクをもってきた。

「ウエルカムドリンクです」
「ありがとうございます!これアルコールは…」
「ノンアルコールです」
「わざわざすみません。ありがとうございます」
「いえ。副社長は?」
「えっと、さっきまで一緒にいたのですが」
「そうですか。では、また後で」

口元に弧を描き、軽く会釈する清川さんが私に背を向けヒールを鳴らして去っていく。

辺りを見渡しながら楓君の両親を探していた。
すぐに楓君のお父さんとお母さんは見つかった。何故なら一番目立つからだ。
明らかに二人とも若く見え、明らかに二人ともオーラがある。
初めて会った時もそのオーラに圧倒されたことを覚えている。

「お久しぶりです!」
「あぁ、日和さん。今日来ていたんだね。楓からは来ないって聞いていたんだけど」
「直前で私が行きたいってわがままを言ってしまって」
「はは、いいんだよ。それよりも今日は料理もあるし飲み物もあるしつまらなかったら食べて飲んで、部屋に戻っていていいから」
「そうよ。日和さん、疲れるといけないから。あ!そうだ!」

お義母さんが耳元の大きなイヤリングを揺らして思い出したように目を見開いた。

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