政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
「今度食事でもどうかなって思ってたのよ。楓も忙しいだろうか、なかなか誘う機会がなかったのだけど」
「ぜひ!それでしたら、来週の休日にうちにいらしてください!」
「いいの?じゃあ、そうね。夜だと日和さんも気を遣うだろうから…午後にでも」
「はい、ぜひ」
楓君のご両親も非常に忙しいはずだ。
それなのにわざわざ休日に時間を作りたいということは、単に会話をしたいとか久しぶりに顔を見たいとかそういったことではなさそうだ。
きっと、何かしらの用事があるのだろう。
「じゃあ、あとでね」
楓君のご両親に挨拶をした後に、私はゆっくりと歩みを進める。
周りにいる人達は皆、慣れたような表情でリラックスしている。
「日和、」
「あ、楓君!今楓君のお父さんとお母さんにご挨拶を…―」
「あぁ、そうなんだ。そろそろ始まる」
楓君の声と同時にぱっと正面が明るくなった。楓君のお父さんが挨拶をするようで、皆がそこに視線を集めた。