花吹雪~夜蝶恋愛録~
景色が流れる。
今、この瞬間ですら、すぐに過去に変わってしまう。
「まぁ、おばあちゃんは今も怒ってますけどね。『あんたまで母親のようになるのかい』、『変な仕事をするから男に狂わされるんだよ』、『どうして正しくつつましく生きられないんだい』って」
美咲は困ったように笑って見せた。
豊原も肩をすくめて返す。
「だったら、お前」
言いかけた時、豊原のスマホの着信音がその続きを遮った。
豊原は少し嫌な顔をしてさっとディスプレイを一瞥したが、電話に出ようとはしない。
やがて途切れた音は、でもまたすぐに鳴り始めた。
「出なくていいんですか?」
気になって聞いてしまった。
煙草を咥えた豊原は、「多分、仕事の話だろう」と言うけれど。
「仕事だったら余計、無視してたらダメじゃないですか」
私のことなど気にしなくていいからという気持ち半分、残り半分は、豊原が何の仕事をしているのか知るチャンスだと期待があったから。
それでも豊原は電話に出なかったが、着信が3度目になり、さすがに観念したらしく、通話ボタンを押した。
「俺だ。どうした?」
今、この瞬間ですら、すぐに過去に変わってしまう。
「まぁ、おばあちゃんは今も怒ってますけどね。『あんたまで母親のようになるのかい』、『変な仕事をするから男に狂わされるんだよ』、『どうして正しくつつましく生きられないんだい』って」
美咲は困ったように笑って見せた。
豊原も肩をすくめて返す。
「だったら、お前」
言いかけた時、豊原のスマホの着信音がその続きを遮った。
豊原は少し嫌な顔をしてさっとディスプレイを一瞥したが、電話に出ようとはしない。
やがて途切れた音は、でもまたすぐに鳴り始めた。
「出なくていいんですか?」
気になって聞いてしまった。
煙草を咥えた豊原は、「多分、仕事の話だろう」と言うけれど。
「仕事だったら余計、無視してたらダメじゃないですか」
私のことなど気にしなくていいからという気持ち半分、残り半分は、豊原が何の仕事をしているのか知るチャンスだと期待があったから。
それでも豊原は電話に出なかったが、着信が3度目になり、さすがに観念したらしく、通話ボタンを押した。
「俺だ。どうした?」