ムボウビハート



 「でも、ね?深夜の赤信号にもちゃんと意味があると思うな。」



「意味、ね。たとえば?」



変わらない信号。



手をつないで、2人で見上げるお月さま。



歩いているのは、あたしたち2人だけ。



夜風があらたの白を舞い上げて、いつもより濃く香った。



あたしの髪に頬に、くちびるに。



色を着ける、甘い白。




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