愛を教えて欲しくない
一緒に

聞いてない



チリチリと、けたたましく鳴り響く携帯のアラームに起こされて、何度も画面をタップする。

どれだけタップしても一向に止む気配のないアラームに苛立ち、些か乱暴に手のひらで画面を叩くと、ピタッと止んだ。


薄暗い部屋のベットフレームの上で光るスマホの画面が眩しくて、思わず目を細める。

時間を確認しようと思って、まだ重たい体を持ち上げた。

はずなのだが、全くといっていいほど自分の体は動く気配がない。


起き上がろうとする頭に反して体が抵抗しているのかと、昨日の曜日を思い出した私は納得したように諦め、本能に従うためにまた瞼を閉じようとした。が、明らかにお腹の辺りに自分のせいではない重みがあることに気がつき、閉じかけた瞼をパチリと開ける。


初めての感覚にこれが金縛りか?と不安になる自分を落ち着かせて、ひとまず横向きから仰向けに体制を変えてみることにする。ひと思いに体を捻れば案外簡単に動かせてしまって、拍子抜けしてしまう。

処理が追いつかない状況に、これが胃もたれか?と全く見に覚えのない罪を胃に着せながら、目が覚めたときのまま左側に伸びたままの腕を右側にぐいっと移動させた。

すると、明らかにベッドの感触ではないゴツゴツしたなにかに加え、ゔっ、と低い声が聞こえてくる。


< 26 / 39 >

この作品をシェア

pagetop