何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】

次の日

民衆達は、城の前の広場に集められていた。

「今日は死刑の日だよな…。」
「だって、城からの命令じゃ、行かないわけ行かないだろう…。」

昨日突如通達があり、民衆達は半ば強制的に集められていた。
その目的は反乱者の処刑のため。

「何なんや？こんな強制的に集めさせて、見せしめかいなー。」

りんも仕方なく、広場に足を運んでいた。

そう、これは見せしめ。
人々は半ば強制的に、広場まで来るように兵士に促されていた。
国に逆らったものに、命はない。
それを見せしめるために。
しかし、誰が処刑される所を目の前で見たいというのだ。
りんもその一人だった。

カツカツ
一人の兵士がバルコニーに立った。
そしてその横には、手錠をされた男が一人。

「この者は天師教様を殺そうとし、襲った反逆者だ！」
「え…？」

広場に集まっている人々が動揺し、辺りは騒然となる。

「しかし天師教様は不死身だ！」

カツカツカツ

「我は不死身だ…。」

そこに現れた男が、マイクに向かって話し始めた。
彼の顔には今日も布がかかっていて、顔は確認できない。
その瞬間、歓声に広場がわいた。

「な…。」

その歓声の中、一人りんは言葉を失った。

「天師教様ばんざーい！」

（あれは…京司やない？）

『青は天使教の影武者よ』

「アイツ…か…？」

りんは震えた声でつぶやいた。
その背格好も声も、どう見ても彼は京司ではない。