何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】
「京司…。」
皇后は未だ目を閉じたままの京司を見つめ、手を強く握っていた。
容体は安定したものの、彼が目覚める事は未だない。
「お願い目を覚まして。」
そんな悲痛な皇后の問いに、彼が答える事はない。
「お願い…。」
皇后がその手を額へと当て、目を固く閉じた。
そんな状況に、皇后はただ願う事しか出来ない。
「…ま…ね…。」
その時、京司の口が言葉を発した。
「え…?」
皇后は思わず目を大きく見開き、彼の口元を見た。
「あ…ま………ね………。」
「え?」
「ん…。」
すると京司が目をゆっくりと開けた。
そして、その目が自分を見つめる皇后を捕らえた。
「母上…?」
京司は、心配そうに自分を見つめる母に声をかけた。
「て、天使教!よかったー。」
そう言って皇后は京司を強く抱きしめた。