何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】
「…なんでもない…。」
星羅がゆっくりとまた目を伏せた。
「星羅?」
いつの間にか二人は、部屋の近くまで辿り着いていた。
そして、そのまま星羅は、そそくさと部屋に入って行った。
「…。」
星羅は何を伝えたかったんだろう…?
しかし今となっては、天音にはその真意はわからないまま。
タッタッタ
そして、天音は部屋に入ることはなく、急いで城の外に出て、広場へと駆け下りた。
ヒューバーン
花火が、またきれいに空を彩った。
一体今日は、何発上げているのだろう?天音がそう考えるのも無理はない。
まるで花火大会が行われているかのように、次々と花火は上がっていく。
「月斗…。」
そして、その名をつぶやいて、天音は天を仰いだ。
そう、この花火を上げているのは、彼に違いない。
もちろん、天音にも分かっていた。