何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】
「ゲホゲホ。」
その頃天音は、辺りに立ち込める煙にむせていた。
(息が苦しい…。)
何とかしてここから出なければ。と思ってみたものの、前に進みたくても煙が行く手を阻む。
「…十字架のピアス…なくしたからだ…。」
なぜかわからないが、まるで独り言のように、そんな事をつぶやいた。
自分が今こんな目にあっているのは、そのせいだと勝手に決めつけて…。
遠くには炎をが見える。
その炎は徐々に近づいてくるかのように、天音の目には映っていた。
まるで、天音を追ってくるように…。
「あの時と同じだ…。そっか…。」
そう言って、天音は床にひざをついた。
「もう、終わりにしていい?」
何かを諦めたように…。