何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】
「天音!!」

辰が天音を抱えて城から出ると、そんな彼等を見つけた華子がすぐ様駆け寄った。

「大丈夫だ。大きなケガはないようだ。」
「よかった…。」

辰が華子の心配そうな顔を見て、安心させるようにそう言った。
華子はその言葉に安堵の表情を浮かべた。

「ん…。」

その時、天音が意識を取り戻し、ゆっくりと目を開けた。

「辰…さん…?」

天音は、目の前で心配そうに自分を見下ろしている辰の顔を見て、彼の名を呼んだ。

「天音!どこ行ってたのよ!」

そんな辰の隣では、華子が顔を赤らめ、怒りながら大きな声を上げている。

「か…こ…?」

天音はその声の方へと首を少し動かし、そこに居る華子の顔を認識した。
しかし、まだ天音の意識はもうろうとしていて、なぜ華子がこんなにも怒っているのか、わかってはいないようだ。

「…何してたの?」

今度は冷静な星羅が、天音にそっと尋ねた。

「星羅…。」

天音は、そこに静かに現れた星羅の問いに答えようと、何とか脳をフル回転させた。

(何をしてた…?

…私は…私は……まだ生きてる……?)


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