何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】
「…これは現実…?」



そして、再び虚ろな表情で天音が小さくつぶやいた。

「天音?」

その言葉に、彼らのすぐ傍にいたりんは眉をひそめた。

「火事があったんだよ。城の中燃えてたでしょ?」

華子がまだ頭がハッキリとしていない天音の様子を察し、まるで子供に説明する母親のように、優しく天音に話しかける。

「燃える…。」
「天音…?」

焦点の定まらない目の天音に、思わず辰も顔をしかめた。


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