何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】
「天師教!!どこに行ってたのです!」

城の裏手には、この城の重鎮達が集まっていた。
もちろん民に、その姿を見せないために。
皇后は京司の姿が見えず、気が気でなかったが、フラッと京司はそこに姿を現した。

「ゲホゲホ。」
「天師教ケガは?」

咳込んだ京司を見た皇后は、京司の元にすぐに駆け寄った。

「大丈夫です。」
「まだ傷も治ってないのに、何をしてたの?」

心配そうな声で皇后が問いかけた。
この所の騒動で、皇后の心配症には拍車がかかってしまっていたようだ。

「…すみません。」

しかし、京司はそれ以上は、何も話そうとはしなかった。
どこで、何をしていたのかも…。



傷なんかよりも、ずっと痛かった…。

彼女の何もかも諦めたようなあの瞳が、胸に突き刺さった。

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