何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】
「天音。」

その時、天音を呼ぶまた別の声が聞こえ、その声の方へ天音は視線を移した。

「せ…い…？」

そこには、天音達のすぐ側までやってきた人物が二人。
一人は深くフードを被って顔を隠している青だった。
顔はよく見えないが、彼のその青い瞳は、かろうじて天音からは見える。

「死にたかった？」

そして、その言葉を発したのは、青の隣にいたもう一人の人物かずさだった。

「え…？」

その言葉を聞いて、りんは眉間にさらに深くしわを刻んだ。
何がどうなったら、そんな単語がこの場に出てくるのか、りんにはサッパリだ。

「まだ、夢を見ていたいの？」

そして、今度は青が笑いかける事もなく、無表情のまま、その言葉を吐いた。
それは今まで天音が見てきた青とは、まるで別人のような冷たい表情で。

「ちがうよ…。」

そして、天音は俯いたまま小さくつぶやくと…

「夢なんかじゃないよ！」

今度は声を張り上げ、大きく目を見開き、青をじっと見た。

< 136 / 287 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop