何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】
「ただいまー!!」

華子がいつものように、元気よく部屋の扉を開けた。

「あれ、天音もう帰ってたんだ…て!?なんでそんな汚いの?」

華子はその天音の身なりを見て、驚きのあまり声を上げた。
天音は、ただ椅子に座って、ぼーっと窓の外を見ていた。
そんな彼女は、ホコリまみれで髪はボサボサ。床はザラザラで、たくさんの砂が落ちている。

「天音?」

しかし彼女からは、何の答えもない。

「と、とにかく!!シャワー浴びなよ。ね!」

そう言って華子は、天音を無理やりシャワー室へと押しこんだ。



「ふー。」

華子が一息ついたその時。

ガチャ
再び部屋の扉が開いた。

「星羅!!」

そして、華子は星羅が戻って来るや否や、すがるように星羅の腕を掴んだ。

「何よ。帰って来るなりいきなり…。」

華子の切羽詰まった様子に、星羅は困惑の表情を浮かべる。

「天音がおかしい!!」
「は?」

その言葉に、星羅が思いっきり顔をしかめ、声を上げた。
< 22 / 287 >

この作品をシェア

pagetop