何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】
それから3日後
「久しぶりやないか!星羅!」
図書館に行くため町へと出た星羅は、運悪くりんに出くわした。
りんはいつもと変わらず、今日も胡散臭い笑顔でニコニコしながら、星羅に話しかけた。
「…。」
星羅はそんなりんを、訝しげな表情でじっと見つめた。
「何や無視かいな!」
そんな星羅の表情に顔色一つ変える事なく、りんが今日もテンポよくツッコミを入れる。
「…天音…。」
星羅はりんから視線を外し、ポツリとその名をつぶやいた。
「おお!天音の様子どうや?」
りんは白々しく、天音の事を尋ねた。星羅に悟られまいとしながら…。
「…。」
しかし、それは無理な話。星羅には一発で見抜かれていた。
(どうせ、何か知ってるくせに…。)
星羅には全てお見通しだった。
「そんな見つめんといて、照れるやないかー。」
りんは、そんな星羅の鋭い視線から逃れるように、わざとおどけて見せる。
「ハー、やっぱり知ってるんでしょ?天音に何があったのか?」
星羅はため息を深くつき、その真意を口にした。
「へ?何の事や―。」
しかしりんは、ここまできても、まだしらを切るつもりらしい。
「天音に何があったの?」
星羅はもう一度、りんに尋ねた。
こんなくだらないやり取りは、ここでもう終わりだ。と言わんばかりに…。
「…天音の様子は?」
観念したりんは、口元から笑顔を消して、チラリと星羅へ目線を送る。
どうやら、やっと真面目に話す気になってくれたらしい。