何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】
「素直に、彼に助けてもらったって認めればいいのに。」

月斗もわかっているはずだ。
彼のいる牢屋までその事を伝えに来たのが、京司だという事は…。

「俺はどこの誰かわからねー奴の助言を、利用しただけだよ。」

しかし、それでも月斗は認めようとはしない。
それは、彼がまだ天師教の事を認められていない証。

「まだ死ぬわけにはいかなかった?」

全てを見透かしている、かずさが彼に問う。

「俺はまだ何もしてねーからな。」

そう言って、月斗は天を仰いだ。

「あの城をぶっつぶすんでしょ?」

するとかずさは、いつもの不敵な笑みを浮かべた。

「お前…過去も見んのか?」
「…さあ。」

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