何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】
「もう帰る場所もない…。夢もなくなった…。」
「…天音の夢は?」

京司は震える彼女の震える背中に、優しく尋ねた。

「…この村とじいちゃんのためにできる事をする。恩返しをする事。」

ヒュー

風が土埃を巻き上げた。

「でももう、生きる意味もなくなった…。」

天音が肩を落として、最後の言葉を力なくこぼした。

「…天音。帰る場所がなくなっても、生きてる奴はいるよ。」

京司がそっと天音の肩を抱いた。

「食べる物がなくなっても、たとえ家族がいなくなって一人になっても、生きてる奴はたくさんいる。」
「…何のために…?」



—————何のために人は生きるの?




「思いは消えない。」



「え…。」




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