何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】
天音がゆっくりと顔を上げて、京司の顔をゆっくりと見上げた。
そんな彼女の目には、今にもこぼれ落ちそうな涙が溜まっている。
「全部なくなっても思いは消えたりしない。思いが力になる。」
ポタ
天音の目から溢れた涙が、地面にたくさんのシミを作っていく。
「それに、お前は俺にさんざん言ってきただろ。一人じゃないって。」
「うわーん!!」
天音は我慢出来ず大声を上げ、京司の胸に飛び込んだ。
大声を上げて泣いたのは、あの時以来。
—————そう。あの時も京司がそこに居た…。