何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】
「とりあえず宿探さなきゃな。」
京司と天音は、村があったその場所から一番近いその町へと足を踏み入れた。
もう体は疲れきっているはずの二人は、とりあえず今日休める場所を確保しなければならなかった。
「…。」
すると突然、天音が足を止めた。
「天音?どうした?」
ダー
そして天音は、京司の言葉を振り切り、突然走り出した。
そんな体力など、残ってなどいないはずなのに。
「オイ!天音!」
京司も天音の後を、慌てて追いかけた。
一体彼女は何を見つけたというのか?それは分からなかったが、彼女を放っておけるわけはない。
京司もまた、体にムチを打って足を動かした。
「はぁはぁ、、」
息を切らした天音が、その建物の前で足を止めた。
「教会?」
京司が天音の目の前に立つその教会を見上げた。
そう、この町には、立派な教会が立っていた。
ここに一体何があるというのだろう…?
京司には全く見当もつかない。
ギー
天音はその古びた扉を、なんの躊躇もなく開けた。
カツカツ
そして迷わず、教会の中へと進んでいく。