何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】
「…あなたは…。」
「うん!華子でーす。」

華子が皇后と対面する順番がやってきた。
皇后は天使教とは違い、一日に出来るだけ多くの妃とこうやって対面する事になっていた。
それは一刻も早く妃を決めたいという、国の意向から。
皇后は物怖じしない華子を目の前にして、訝しげ《いぶかしげ》な表情を浮かべた。

「あなたは、どうして妃に?」

皇后が、華子に妃になるその理由について、他の候補と同様の質問を投げかけた。

「何かピーン!きたんだよね。」
「え?」

皇后は、何とも華子らしい回答に、眉をしかめた。

「それに三食昼寝付きだって聞いたし!!」
「…。」

皇后は、表情を強張らせたまま、返す言葉も見つからず、ただ黙って華子を見た。

「あ、そうだ!一つ聞きたい事があるんです。」

華子は目の前に毅然《きぜん》と座る皇后に、やっぱりいつものひょうひょうとした態度で、思い出したように尋ねた。
それは、華子がどうしても聞いておきたい事。

「なんです?」
「天師教様の顔!かっこいい??」


やっぱりここでも華子は、空気を凍らせる一言を言い放った。

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