何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】
「びっくりしたわー!」

りんがどこか楽しそうに、大きな声を上げた。

「…それはこっちのセリフ。」

りんと京司は、教会の外に座り込んで話し始めた。
りんはあの時、以前来た、この中月町が近くにある事に気がつき、居ても立っても居られず、思い立って馬を走らせた。
すると、たまたま天音達を見つけたのだ。
やはり彼には、何かを察知する能力がどこかに隠されているのだろうか?

「なんや、かけおちかいなー?」

りんがニヤニヤしながら、京司の顔を覗き込んだ。

「…。」

しかし、京司は口を結んだまま。顔をそらした。
(余計な散策ばかりしやがって。)

「ま、なんでもええけどな!」

りんはまだニヤニヤしながら、顔を元の場所に戻した。

「…お前は?こんな所で何してんだ?」

すると今度は京司が話をそらすように、りんに尋ねた。
そういえば、彼がなぜ、こんな城下町から離れたこの町にいるのか。
京司はそれを知らない。

「わいか?わいは今、反乱軍の手伝いしてんのや。」
「え…。」

京司は、思いがけないりんの言葉に、絶句した。

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